さかもと屋市兵衛

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「大丈夫、一時間に一本バスがある。なにせうちはメインストリートに面しているから」と、ヒトミワイナリーの岸本代表が笑いながら言った一言が、忘れられない。これって凄いんだ。今まで車で40万キロ以上もヨーロッパのワイナリーを巡っていて、こんなこと、一度も考えたことがなかった。なにしろ、飲みすぎなければ、常に運転していたから。その点日本は、(特に東京での乗り換えのための早歩きや階段の登り降りを除けば)なんて楽なんだ。

 バスの時間を気にしたのには、理由があった。その日の夕刻までに、広島に行かねばならなかったから。朝、東京を新幹線で出て、米原(JR東海道本線)近江八幡(近江鉄道八日市線=何十年ぶりかで再会した「硬券」に感激、記念にもらってきた!)八日市(近江バス)ヒトミワイナリーに着き、ここからは近江八幡まで戻り、JR東海道本線で新大阪に出て、新幹線に乗り換える。広島にはどうしても行きたい寿司屋があった。

 舟入中町のさかもと屋市兵衛の直吉大将は、ちょんまげおやじとして有名な、カウンター越しのエンターテイナーだ。YouTubeで大将のことを知って以来、是非一度会って見たいと思っていた。その思いが、フランスを出る前に購入したJAPAN RAIL PASS(「のぞみ」と「みずほ」を除けばJR全線乗り放題)のお陰で、叶ったわけ。

 日本に戻って最初の本格的なお料理は、「うん、瀬戸内の幸は美味しい!」の一言で始まり、そしてその一言で終わる。お通しからお造り、酢の物、焚き物、焼き物、握り(一体全部で何品出たんだ?)と、江戸前のコハダに涙した大将の仕事はさすがだ。一品一品に(エンターテイナー以上の)芸がこもっている。ただ、中でもビックリしたのは、魚もさることながら、出される野菜の美味しさ。「ウワァ~」とつい口をつく。ここまで野菜に凝る寿司職人は、あまりいないだろう。喝采、喝采。

 一方お酒の方は、最初からほぼ私たちの口に合わないのが分かっていたのだから、言及しまい。それでも、私たちが漏らした「自然派が好き」の一言に、直吉大将がピーンと反応。裏から持ち出した雨後の月の「残りもの(澱)」には、気を取られた。にごり酒(?)の上澄みだけを飲んじまった後、残り物を冷蔵庫の中に放ったらかしておいたらしい。真っ白でドロドロ、でも、これが結構いけた。ただ自然酒でないぶん、やはり後はちょっとこたえたけど。

One Reply to “さかもと屋市兵衛”

  1. 素敵な写真 ありがとうございます!

    次回おいでになられることがあるならば
    お酒は持ち込みにされたらよいと思いますよ。
    しかし、最後に飲ませていただいた グルジアのワイン
    楽しかった!

    またお会いできるのを楽しみにしています。

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