うわぁー、O O O KA さん

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 高松二日目、私たちは中川さんたちとドライブに出た。行き先は岡山。フランスで「Hirotake」の愛称で親しまれていた大岡さんが、突然日本に引き揚げ、岡山にワイナリーを開いて、すでに久しい。大岡さんとは、ある真夏の日、ローヌの井戸底の気温14度のカヴで、Tシャツ1枚、4時間も話し込んだ想い出がある。その大岡さんに会いに行く。

 最初は、私たち二人で電車で行こうと思っていた。そのことを中川さんに告げると、一緒に行きたいと言う。おまけに、奥さんが運転する車で。勿論、問題はない。取り敢えず、岡山空港まで迎えに来てくれると言っていた大岡さんにその旨を伝えるが、ガブマル食堂の有村さんと風林の関さんも参加することになり、結局6人で行くことになった。

 瀬戸内海を車で渡り、岡山市に入り郊外の山道へ。順調にナビに従い進んで行くが、最後でズレる。ヨーロッパではよくあること。酷い時にはナビが、とても車が通れぬ細い道や階段を、或いは人のうちの中(私有地)を突っ切れ、なんて言ったりする。だから慣れっ子だが、日本でそうなることが可笑しくて、黙って見ていた。

 結局、電話を入れ場所を確認した後、来た道を少し戻り別の道に入りるとほどなく到着。ワイナリーのある農業倉庫の前で、大岡さんが待っていてくれた。が、先客と思しき人と一緒だ。よく見ると、あれ、外人さん?誰かと思えば、フランス人の造り手、ルシオン地方のドメンヌ デュ ポッシブルのロイック ルールだ。

 凄いな、大岡さん。外国からの訪問者もいるんだ(まぁ、私たちもそうだけど)。そう言えば一年ほど前に、やはりフランスのBIOのビールの造り手から、「日本で大岡さんを訪ねたいので連絡を取って欲しい」と頼まれたっけ。でもあいつらは、実際に来たのだろうか。

 中に入ると、早速大岡さんがワイナリーの構想を話してくれた。まず第一に、立ち上げに当たりできるだけ費用をかけないこと。だから、周りにある機材は殆ど全て中古、ヤクオフ(?)などで手に入れたそうだ。そして樽はフランスの自分の蔵で使っていたもの。よくもまぁ、これだけ寄せ集めて、(ある種の固定観念からすれば)全くドメンヌらしからぬドメンヌ(失礼!)をつくったものだ。その上そこで、とんでもないワインを造っている。全く驚異だ。

 私の気を一番引いたのは小公子だった。日本の山葡萄の交配種で果粒が小さく、高い糖度と強い色度を出すらしい。ただ、変な決まり(?)で手に入れるのがなかなか面倒なよう。その小公子で醸したワインを試飲している時に、「日本の土壌には、欧米の品種ではなく、やはり日本固有の土着の山葡萄の方が絶対に合いますよ。そういう葡萄でワインを造れば良い思う。」と、大岡さんが言った。その言葉が、ズーンときた。その通りですよ、大岡さん。実際に、この小光子がそれを見事に証明している。欧米気触れよ、さようなら。日本は素晴らしい。もしかしたら、ワイン発祥の地も日本かもしれない。なにしろ、1万年以上も平和の続いた、縄文(有孔鍔付土器)文化があるのだから。

 一方、蔵の中には結構樽が並んでいる。勿論みな古樽で、新樽など一つもないけれど、個人的にはちょっと残念だ。そこで満を持して尋ねてみた。「かめ壺で仕込まないの。」すると「まだそこまでは…」とのこと。でも、話はあるらしい。となれば、ここは岡山、備前焼き。備前のかめ壺か?もしそうなら、それが実現したら、絶対に絶対に絶対に、世界で一番凄い(旨い)かめ壺仕込みワインが誕生する!間違いない。うわぁ、これで俄然楽しくなってきた!

(実はその日の帰り道、某処で、7~800L位あるかなぁ、馬鹿でかい備前焼のかめ壺に遭遇しちゃった。どうせ売る気はないだろうけど、幾らするのだろう?赤い葡萄はかめ壺で、白い葡萄もかめ壺で、どう咲きゃいいのさこの私、カメは何時ひらく…。)

 最後に、何故大岡さんが日本に戻られたのか気になっていたので尋ねると、「子供のため」と言われる。「うちには子供が3人いるけど、妻も日本人なので、みんな列記とした日本人面。これがハーフだったら問題ないけど、将来子供たちが大きくなった時に、周り(日本人)から普通の日本人と同じように見られるでしょう。その時に、日本の習慣などを知らずに変な目で見られたら可哀想だし、大変だと思う。だから、日本の学校に入れることにしたんです。」ごもっとも、よく分かります。日本人は欧米顔には弱くて甘いけど、同胞には概してきついところがあるから。私たちも、「ケイコ&マイカは日本人じゃないから」とはぐ抜けにされることがあるけど、だからと言って外人さんの特典はもらえない。続けて大岡さん曰く、「もっとも田舎の学校ですから、全校生徒が12名。内3人がうちの子、PTA(会長)間違いなしでしょう。」それはご愁傷様。

 そして最後の落ちは、「それに、もしフランスにいて歳をとり入院でもしたら、毎食フランス料理を出されて死んじゃいますよ!」うわぁー、御意。これ、正にフランス料理殺人完全犯罪事件簿になる!嫌だー、私も日本に戻りたい!

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