Rosemarie Bernhard & Giulio Viglione – A.A. Viglione
初めて耳にする人の名に何故か懐かしさを覚えることがあるように、それまで聞いたことのなかったワインの名でも、最初から好みのワインのような気がすることがある。バルベーラがそうだった。ドルチェートよりも、またネビオーロよりも、その名を聞くだけで心が弾み、幸せになったような気がした。そして実際に飲んでみると、その通りだった。知りもせずにバルベーラが好きと言い、教えてもらったのが、このヴィリオーネだった。
約束の日、モンフォルテ ダルバの指定の場所へ着き電話を入れるとすぐに、白のサムライ(海外向けスズキのジムニー)が飛んで来た。そして降り立ったのは、その場の雰囲気からおよそかけ離れた、個性丸出しのローズマリーだった。挨拶もそこそこに、彼女についてカンティーナへ向かうと、ジュリオが迎えてくれた。見るからにローズマリーとは対照的な、ピエモンテの郷人だ。その二人が、やけに綺麗なティーシャツを着込んでいる。
理由は簡単だ。勿論、撮影のため。が、その目論見(?)は見事に外れた。「まぁまぁまぁ、一杯飲もうや」とのジュリオの誘いに応じて、普段は撮影が終わるまであまり飲まない私が、その時は勧められるがままにバルベーラを口にした。すると、これがいける。「やっぱりバルベーラは美味しいんだ!」と嬉しくなり、「写真はこの次でいいや」とばかり、その日はそのまま宴会へ突入。後日改めて出直し、撮影することになった。
しかし二回目も、また宴会で始まることになる。それでも、今回撮らないわけにはいかない。そこで宴会の途中、たってのお願いと撮らしてもらったのがこの写真だ。ローズマリーとジュリオの二人合わせて300%、個性むき出しの傑作になった。そのご褒美ではないが、二度目の宴会の最後に出てきたのは、なんとバルベーラ1985年。ピエモンテの真髄はネビオーロと言うけれど、そうかなぁ。私にはバルベーラの方が輝いて見えるけど…。