シチリアのさそり

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Arianna Occhipinti – A.A. Arianna Occhipinti

 ステファノと同時期に、私たちの名が売れるきっかけとなったもう一枚の写真がある。以前、リーデル用の撮影でSBMのジェナーロにイタリアの生産者を紹介してもらった時、彼のリストにはアルジオラスの名があった。シチリアの有名な生産者だ。行こうと思って何度も計画を立てるが、いかんせんシチリアは遠い。その度に何処かで不都合が出て、行かずじまいになっていた。そうこうしている内にTriple Aの仕事が始まり、アルジオラスの名は消えた。代わりに登場したのがアリアッナ オッキピンティだった。

 それでもやはりシチリアは遠い。そんな時、サンレモのレストラン、パオロ&バルバラのご夫妻から、一緒にシチリアへ行こうと誘われ、同行させてもらうことにした。車ではなく、飛行機でジェノヴァからカターニャに飛び、そこからレンタカーだった。以前は、リーデルのソムリエ・シリーズを持ち歩いていたので、空路は交通手段の対象外だったが、もうその必要もない。話は簡単だった。

 車でカターニャからヴィットリアに移動し、初めてアリアッナの開墾途中の葡萄畑を見た時、ここはアフリカかと思った。大地の色、乾いた空気に灼熱、正に北アフリカを彷彿させらる土地だった。そこで、長い豊かな黒髪を無造作に束ねたアリアッナが、鍬を振り上げては振り下ろし、地面を耕していく。やがて手を休めると、「新しいトラクターを買ったら、すぐ盗まれた。だからもう買わない」と、真っ白な歯を丸出しで笑いながら言いた。そしていきなり、地べたに這いつくばった。褐色に近い肌がピィーンと張りつめ、黒い瞳がきらきらと閃光を放っている。うわっ、さそりだ!

「そうよ私はさそり座の女、さそりの毒はあとで効くのよ、さそりの星は一途な星よ」とばかり、当時、EUの青年対象の支援制度を利用して建設中だったカンティーナは、今では場所も建物も変わり、立派な農場主の家と蔵になっている。私が知る限り、アリアッナはTriple Aの中の出世頭だ。そんな彼女にかめ壺の話をすると、「コンクリートがいい」と興味がなさそう。まぁ、いいか。叔父さんのジュスト(COS)が沢山やっているから、放っておこう。

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