Famiglia Guerrini-Fortunata – A.A. Paradiso di Manfredi
モンタルチーノには、私たちの癒しの場があった。パラディーゾ ディ マンフレディ、マンフレディの楽園、昔ながらのやり方を変えないという約束で婿入りしたフロリオの楽園、そしてそれを受け継いだ娘ジョイアの楽園だ。昔からずっと「手」で守られてきた、海抜330mの北東向きに位置する僅か2,5hの畑だ。その収穫は当日の朝に決められ、その日の内に、私たちが家から520キロをすっ飛ばし辿り着く前に、終わってしまう。だから今まで一度も見たたことがない。
もっとも、マンフレディには別の収穫があった。それはフォルチュネータお婆ちゃんのご自慢の菜園での収穫。私たちが行く度に、野菜を獲ってきて、色々とご馳走してくれた。それがこの楽園の流儀だった。そのフォルチュナータお婆ちゃんも、数年前に天寿を全うされ、もういない。が、パラディーゾのおもてなしの心は、今も続いている。南イタリアへ車で行く時には、寄れるなら是非寄って行きたい、素敵な場所だ。
ところで、同じモンタルチーノには、ブルネーロ好きにはたまらないカーゼ バッセがある。どちらもサンジョベーゼの土地柄なのに、その雰囲気は異なる。そして両者には、たわいのない違いが一つ。それはマンフレディがボトルを寝かして保管するのに、カーゼ バッセはボトルを立てて置くこと。些細なことかもしれないが、でも意外とこれが決定的な違いだったりして。
フロリオは歴としたモンタルチーノの土地っ子で、義父との約束により昔ながらのしきたりをがんと守っている(だから、かめ壺醸造を頼めなかったけど、今のジョイアならOKかも)。一方のジャンフランコは、トゥレヴィーゾ生まれのミラノ育ち、北の出だ。そして北の造り手は、ボトル内の再発酵を恐れてか、よくボトルを立てたまま保管している。それをそのまま、ジャンフランコがモンタルチーノへ持ってきた。そして北と南の違いが、そのまま両者の違いとなっている。
まぁ、ワインが美味しければどちらでも良いのだけど、ただ、それにしてもイタリアのボトルの整理は面倒だ。定形外で不揃いなものが多く、なかなかしっくり収まらない。イタリア人は何故、人の迷惑を顧みず、こんなにも見た目で競うのだろう。中身が美味けりゃそれでいいじゃないか、と思うのだが、違うかな?