ナイティンゲール!

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Tomaž & Franc Vodopivec – Slavček

 初めてのスロヴェニアの旅では、もう一人別の造り手を訪問した。スラウチェックだ。場所はドルネンベルク。先に登場したチョッターから15kmも離れていない。スロヴェニアはそもそも小さな国だ。四国よりも一回り大きいくらいで、人口は200万人程。四国や元同じURSS構成メンバーのジョージアの半分強といったところ。そんな小国だけど、多様性がある。そもそも、MOVIAに比べれば、ここは全然イタリアナイズされていない。

 スラウチェックは、教会の記録によると、スラウチェヴィフ(ナイティンゲール)の名ですでに1769年に登場し、以後何世代にもわたりワイン造りをしているという。現在の当主の名はフランク ヴォドピヴェック。妻と息子と共にワイナリーと民宿を経営、全て彼らの手作りショップならぬ農家だ。ワインもテロワールを守り、伝統的な技法で醸造、その品質を保っている。また、滅茶苦茶に美味しい桃のジュースも作っていて、こちらもTriple Aに指定されている。

 フランク自身は、「ソビエト製で頑丈だ」というご自慢のジープ同様、どことなく無骨な印象があるが、とにかく率直で誠実な人なのだろう。あらゆるところに込められた嘘のない率直な彼の思いが、ひしひしと伝わって来る。そして、撮影後の最後の一言が大傑作。

「俺、赤ら顔なので、なんとかしてくれ!」 

 はぁ?ご心配なく。デジタルですから。それにそもそも白黒なんだよね、私の写真。