ヨイヨイヨイヨイ

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Henry-Frédéric Roch – Domaine Prieuré-Roch

 毎年春、イタリアのヴェローナで開催されるVINITALYのOFFの一つでVINO VINO VINOの前身、VINI VERIの会場ヴィラ ボスキでのことだった。某出展者が、「有機農法で葡萄栽培をしているが、醗酵がうまくいかず、醸造時に二酸化硫黄添加で制御している」と言う。納得できず、外で談笑していたアンリ・フレデリック ロックと、クリスティアン ビネールに、その疑問をぶつけてみた。するとアンリが、

「葡萄が醗酵しないのには、二つの理由が考えられる。一つは、農薬等化学薬品を投入し、畑から酵母が消えた場合。もう一つは、酵母のいないところに畑を作った場合。どちらも酵母がいないのだから、醗酵しない。その点、先人は偉いよ。そういったことをちゃんと弁えていたのだから。今畑があるところには酵母がいる、少なくともいたわけだ。だからワインができた。」

と言った。そしてクリスティアンが引き続き、

Christian Binner – Domaine Binner

「そうさ。土地の酵母があってからこそ、そこのワイン、テロワールを語れるワインができるんだ。農薬散布で酵母がいなくなれば、ちゃんと醗酵するわけがないし、そこで二酸化硫黄を入れ一度全ての命を絶ち、培養酵母で無理矢理醗酵させる。そんな化学工業製品はワインじゃない。」

と、締めた。さらに付け足す様に、

「よく、葡萄の樹は根を地中深くまで張るって言うだろう。冗談じゃない。植樹した時から農薬や肥料を使用してきた畑なんて、化学薬品を使わずに手入れしようとトラクターで耕したら、大変なことになる。葡萄だって人間と同じように怠け者なんだよ。農薬のせいで、地中には栄養分なんてありゃしない。そこで人間様が地表に肥料を撒いてくれれば、『おお、楽だぜ』って、下に行くはずの根が、肥料を求めて皆上に向かって伸びてくる。そこをトラクターでガガガガーとやっちまったら、根が切れてみんな死んじまうさ。」

 なるほど、もっともである。と言うことは、つまり、「葡萄の根は岩盤をも突き破って地中深くに…」等というよく耳にする話は、これだけ化学農薬や肥料が蔓延した現在、ほぼ迷信ということか。確かにニコラ ジョリも、

Nicolas Joly – La Coulée de serrant

「そもそも、あの柔らかい根の先が岩盤を砕ける訳がないだろう。根をいくら岩に押し付けたって、刺さりはしない。そんな根が岩盤に入り込むのは、根の先でバクテリアが働いて岩を柔らかくしてくれるからなんだ。だから、そういったバクテリアを化学農薬で殺してしまったら、根が岩盤に食い込むことなどできなくなってしまう。」

と、言っている。分かり易い説明だ。

 それでは、地表近くに張った根で化学(或いは有機)肥料を取り込んでいる葡萄には、その土地の特色、つまりテロワールが現れるのだろうか。さぁ、どうだろう。若干の違いはあるかも。でも、元々のはっきりした差はないさ。だって、土地独自の食を取らず、みな同じ肥料を取り込んでいるのだから。これでは葡萄のグローバル化だ。個性がなくなり、つまらなくなる。そこで培養酵母での強制味付け、そうなったらテロワールなんて微塵もないの。でも、あぁぁ…、

(有作テロワール連)

 ア、ヤットサー ア、ヤットヤットー

 テロワールばかりが浮き物か  あなたの心も浮いてきた  浮いて飲むのはこのワイン

 一かけ二かけ三かけて  四(し)かけたテロワールは止められぬ

 五かけ六かけ七かけて  八(や)っぱりテロワールは止められぬ

 ア、ヤットサー、ア、ヤットヤット

(以下無双テロワール連)

 慣行ワインにお負けなや  わたしゃ負けるの大嫌い  負けてお顔がたつものか

 ア、ヤットサー、ア、ヤットヤット

 語る阿呆に聞く阿呆  同じ阿呆でも飲まなきゃよいよい

 エライヤッチャ エライヤッチャ ヨイヨイヨイヨイ  素肌のワインだ ヨイヨイヨイヨイ

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